中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

自己啓発の観点から書籍通じて先人に学ぶ その10 今回も沢山の視点あり すべては本人の受け入れ方

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自己啓発観点からの書籍引用 10回目

1.改めて「自己啓発」について

 世の中には、相変わらず、自己啓発サイト、溢れています。

そして、私の見解も相変わらず、以下の通りです。

私自身が、語れることなど、たかが知れている。

しかも「実績がないと同じ言葉でも、読み手の感じる「重み」が全く

違う」。

したがって、先人の言葉の紹介の中で、本人が「自己啓発」と感じる

部分があれば、それでよし。

と言うわけで、本日もいくつか紹介します。

10回目となります。  

 

2.  ゴリラの森、言葉の海 

山極寿一/著   小川洋子/著  

出版者    新潮社 2019.4

(抜粋だけでなく、一部私の要約もあります。

また、(  )内は前後補足や私のコメント)

二つの理由からゴリラは「人間の鏡」である
➀人間の模範であること
②人間の本当の姿を映し出すものであるということ  P17
 
ゴリラに年子はいない。
4年に一度くらいしか子どもを生めない
3年くらいは授乳している   P52
 
 男の人は、子供を産むという経験をしないから、共同体が認め
るような儀礼を経ないと男になれない。 
今の日本男子が草食化しているというのは、儀式がないから。 P66
 
オスが男性になっていく過程で必要だった男らしさは、
今の人間社会でも必要なものだ。
男女共同参画社会として女性の職場比率向上と、男女の生物的な
違いの認識は話が別。  P68
 
人間が戦争をするのは、類人猿から引き継いだ本能ではない。
言葉のせいである。
狩猟に用いる武器を同じ人間に向けるようになったのは、せいぜい
数千年前だから人間の本性であるはずがない   P77
  
よく軽蔑的な意味で「動物のように」と言いますけど、それは誤解。
動物は理由なく攻撃的にはなりませんし、親子の区別なく交尾する
こともない。
動物のほうがよほど節度を持っている。
説明できないような大きな感情のうねりや、理不尽な行為を「動物
的な」と言いますね。
それは人間だからこそするんです。  P149
 
(人間の特徴として)
赤ちゃんは乳離れが早い、思春期に急成長、 老齢気が長い
 (その理由として)
文化や文明の歴史ではなく、人間の生物としての独特な歴史が反映
されている。
 それは、ゴリラ、チンパンジーオラウータンといった類人猿が
体験することのなかった、熱帯雨林の外の冷涼な気候や植生帯へ
人間の祖先が進出する大きな社会力を熟成する源泉となった
 P217
 
最後に、私が気に入った小川さんの文章を「はじめに」から引用し
ます。
行ったこともない、手も届かない遠い場所にも、何ものかが懸命
に生きている。
この当たり前の現実が、新鮮であり驚きだった。
同時に、自分が生かされている世界に対し、畏怖に念を抱いた
瞬間でもあった。
 

3.  土 地球最後のナゾ 

100億人を養う土壌を求めて

 藤井一至/著   出版者    光文社 2018.8

 
地球にしか土がない
専門家の集う学会の定義する「土壌」とは
岩の分解したものと死んだ動植物が混ざったものを指す  P19 
 
 生物の場合知られているだけで
昆虫75万種、植物25万種、キノコは7万種
未発見もいれるともっと
土は12種類しかない      P48
 
肥沃な土壌は、そう多くない。
12種類の土のうちで単純に肥沃と呼べる土は、チェルノーゼムと
粘土集積土壌、ひび割れ粘土土壌くらい。
そして、これらの土は局在している。      P136
 
乾燥地にしか分布しないチェルノーゼムには最も肥沃な農地が広
っているが、そこに暮らす人口は多くない。
水が足りないからだ。         P144
 
人口密度の高い地域を支えている土は、黒ぼく土(火山灰土壌)
ひび割れ粘土質土壌、強風化赤黄色土、若手土壌、粘土集積土壌だ。
(以上で12種類のうち5種類です。)
未熟度、チェルノーゼム,ボドゾル、オキシソル、
(この4つも、将来的な食料生産土台として頑張って欲しい。)
砂漠土、泥炭土、永久凍土 (この3つ加え以上で、12種類)
P146
 
日本は農業大国になれるだけの肥沃な土を持っている
 私たちは国土を危険にさらす外国の脅威には敏感になれるが、その国
「土」が荒廃しつつあることには、鈍感であることが多い。
土の発達には数千年かかるとか、土壌汚染の修復に数百億円かかると
いう事実に愕然とする前に、予防も可能だ。
土壌に恵まれた惑星、そして、土壌に恵まれた国に育った人間と
して、ただそこに当たり前のように黒い土があることのありがたみ
知っておいていいはずだ。    P212
  

4.宇宙と宇宙をつなぐ数学

IUT理論の衝撃

  加藤文元/著    出版者    KADOKAWA 2019.4

 なぜ、数式や数学記号に強いはずの数学者が圧倒されてしまうので

しょうか?
それは、繰り返しになりますが、要するに「慣れ」ていないから。
P29
 
数学者にとって「正しい」ということは「証明が存在している」
いうこと。
その証明には、いかなる論理の飛躍があってはならない。  P40
  
数学の論文にとって大事なこと 3つ
新しい、正しい、興味深い         P66
 
(数学は役に立つか?に対する著者加藤さんのお見解)
これほど価値観が多様化し、数学の「使われ方」も多様化して
しまった現代にあっては、もはやどんな数学でも、それが「役に
立つ」のは当たり前としか言いようがないし、それを疑うのは、
もはや無意味になってきている      P84
 
現代ほどに価値観が多様化し、科学技術が成熟し洗練されている
社会にあっては、もはや(昔風の言い方では)「使えない」数学を
指摘することすら困難です。  
望月教授の、宇宙際対比ミュラー理論ですら、将来何らかの応用に
供されることだって十分にあり得ます。   P95
  
(理論構築に必要な)「自然な方向性」を手に入れる手段 2つ
➀啓示、ひらめき
②「アナロジー(類似)」  P130
 
ABC予想の証明には失敗しても、IUT理論を残すことが重要  P151
 
(「予想」とは何か?)
「正しさが留保されている定理」が「予想」     P153
 
 19世紀の天才数学者リーマンの
リーマン予想」は、未解決、解決の糸口もつかめていない
(とのことです。)  P168
 
IUT理論がどのくらい革命的な射程をもった理論なのかということ、
それが数学の世界に革命を起こそうとしていること、
要するに、それが目指すことがどのくらい「凄いこと」なのかと
いうことを、読書の皆さんにわかりやすく示すことが、この本の
もっとも大事な使命     P173
  

(IUT理論の特徴の説明)

➀異なる数学の舞台を想定することで、欲しい状況を、まずは
同語反復的に」作り出す。
②舞台間の限られた通信手段を用いて、計算方法を伝達する。
③「対称性通信」によって生じた「不定性・ひずみ」を、定量的に
評価することで、不等式を導く。  P291
 
従来の数学は、単一の舞台で、ものごとを実行する。
IUT理論は複数の舞台で作業することで、それまでになかった柔軟
な状況、つまり、従来の数学の視点からは「非常識な」柔軟性を
手に入れる        P292
 
 5.世にも美しき数学者たちの日常

二宮敦人/著  

出版者    幻冬舎 2019.4

「京大の望月真一先生がABC予想というものを解いたと騒ぎに
なったんですが、これもずっと審査が続きていますね
どれくらいの期間になるんですか
もう5年になりますね」   P15
 
数式に人柄がでるんですか?
「はい、でますよ。たとえばリーマンの数式はちょっと
暗くて、内向的なんですね。対してオイラーなんかは明るくて
、自信がにじみ出ているんです。」   P23
 
「数学はある意味で、のんびり考えて楽しむものなんですよ。
三時間が与えられて、その中で五問解くとか、点数で競争するとか、
そういうのは数学の本来の趣旨ではないんです。
難しい問題だと、五年とか十年とかの時間じゃ、どうしようもない
こともある。
だから人生設計なんかと同じで、十年くらい回り道をしてもいい
わけです」   P38
 
 「解けたこと自体はそんなに重要じゃないんですよ。
(中略)それより解くために僕が新しく作った理論のほうが重要で、
これが別の数学に役に立つ。そこが評価されるんです。」  P86
 
「やっぱり、数学はどんなレベルの人でも楽しめるからだと思い
ます。僕は僕で、すごく数学を楽しんでいるので」 
「しかもどのレベルの人も、『難しい』って言っていると思います。
みんなそれぞれのレベルで『難しい』し、『数学、わからない』
思っているはずです。
『数学わかる』って人がいたら、その人は多分解っていないと思
ますね。
ある意味みんな、同じ土俵に立っているんです。」    P151
(学者でなく「在野研究者たち」と銘打った数学教室講師の発言)
 
「実験室とか研究室とかいうと、”外にあるもの”だと思いますよね。
 でも数学という学問では、頭の中に実験室があるんです。
他の学問と比べても、内側への意識が強い、自分の中に向かわざる
を得ない。
人付き合いが悪い、と言われても致し方無いところがあるんです
よね。
だから時々変わった人はいます。」    P174
  
自分の能力の範囲で、できることをやり続ける。
数学に限らず、人が生きるということはそういうことなのかも
しれない。   P227
 
 「うん。だから、数学というのは一つの言語だと思いますね」
 P289
 
私の感想
前回の(読書感想文もどき)の数学者加藤文元さんの「IUT理論」
の解説とは違います。
数学者とは、こんなもんだろう、イヤちょっと違うぞと、いろんな
意見が出てきそう。
一層読みやすい文体で、自分が知らない世界を知る、読書のひとつ
醍醐味でした。

 

 6.最後に

したり顔で、私がどうこう解説するより、まず、いろんな考え方に

たくさん触れることでしょう。

出来れば、ある程度の評価が固まっている書籍が、そのなかに含まれ

るといいと思います。

自分が賢くなるためには、「賢い」と思っている人の考え方をたくさ

ん知ることが、一つの道だと、改めて思います。