中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

哲学、女、唄、そして・・・(ファイヤーベント自伝)読書感想文もどき

 哲学、女、唄、そして…

ファイヤアーベント自伝

原タイトル           Killing time.∥の翻訳

ポール・ファイヤアーベント/著  .

村上陽一郎/訳  

出版者    産業図書 1997.1

 1.概要

ファイヤアーベントは、オーストリア出身の哲学者、科学哲学者です。

科学へのアナーキスティックな見方と、普遍的な方法論の否定によって

有名であり、科学哲学にくわえ、科学社会学においても影響力を持つ

人物です。

本書は、彼の自伝です。

原タイトルが、Killing time 「無駄な時間」だったのですね

 訳者は、科学史の権威、私のブログで複数回紹介した村上洋一郎さん

です。

実は、本書も広義の紹介、下記の竹内薫さんの、文章に触発されて、

手にしました。

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例えば科学がどうやって発達するかということを、科学史や科学哲学

の専門家がいろいろ研究しているのですが、この人はそこに出てきて

「anything goes」(何でもあり)とか、言っちゃうわけです。

つまり、科学者の発見というものは、パターン化できないし理論化も

できない。そんなのは何でもありだから、いろんな人がいろんなこと

を考えて、いろんな科学的発見につながるだけだろう、ということを

言うわけです。そう、この人の哲学はアナーキズムなのです。

竹内薫感染症、AI新時代を生き抜く   P272) 

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お気に入りの本棚イラストにしました。

 2.本文からの引用

(公開講義でのファイヤアーベントの質問のはずが、演説)

私は思ったままのことを言った。10分ほども話したのだろうか。

討論が終わって、太陽の輝く戸外へ出た。ぼんやりしていた私の傍ら

に気が付くとポパーがいた。「ちょっと歩こうじゃないか」と彼は

言った。(中略)それから、彼はお互いに親称の「ドゥ」で呼び合お

うと提案した。 P103

 

ヴィトゲンシュタインとの面談)

ヴィトゲンシュタインはいらだったようには見えなかった。彼はあら

ゆるところで出会う慇懃な尊敬よりも、我々の率直で飾らない態度が

明らかに気に入ったのだった。

よく実私は黄疸になって寝込んだ。サルファ剤の服み過ぎだった。

しかしヴィトゲンシュタインは、面白かったと言っていた、と人づて

に聞いた。  P109

 

(試験官カインツの口頭試験)

後者は本文に付して、小さな活字で、延々と付加的な、かつ誰も知ら

ないような細かい情報が書き込まれた注の部分がついていた。私は

その小さな活字のところだけ勉強していき、応答に利用した。

カインツが、私が徹底的に勉強したのだと思って、その後は省略して

くれた。(中略)試験が彼自身の書物に移ったときに、いくつか疑問

に思うことに言及した。

計画は図に当たった。カインツはほとんど休まずにしゃべり続けた。

秘書が彼を促した時、彼は言った。「まことに結構な試験であった」

そして、彼は私に最高の点をつけてくれた。 P124

 

 (初めての科学哲学の講義の仕方について)

 「この最初の一行ね」」と彼は言う。「それで最初の講義ができる

じゃないか。君が言おうと思っていることを先ず述べる。それから、

それを細かく発展させる。やり始めればいろいろ沢山思い出してく

るよ。あとは、繰り返して、要約して、そうやっていれば、いつの間

にか時間が来ちゃうさ。そしたら、次は二行目でやればいい。そんな

具合さ」  P151

 

通常私は二つの講義を持った。一つは一般哲学であり、もう一つは科学

哲学であった。もう一つセミナーを持っていたが、そこでは参加者が自

分の考えていることを説明する機会とした。   P176

 
1968年に私は「方法への挑戦」というタイトルの論文を書き (中略)
私は、理論と観察とは、対応規則によって結び付けられる、互いに独立
した実体ではなく、解ることのできない全体を造形るものだと論じた。
 P200
 
今では、この「アナーキズム」には、単なるレトリック以上のものがあ
ると確信している。世界は。科学の世界も含めて、理論や規則類では捉
え切ることのできない、複雑でばらばらな実体である。  P203
 
「すべての個々の文化は、潜在的にはすべての文化である」ということ
であり特定の文化的特性は「一個の人間性」の変化し得る表現である
ということである。
この結論は重要な政治的聞けるを導く。」つまり文化的な特性は決して
神聖不可侵なものではないことになる。 P217
   
3.私が考えたこと
先ず、訳者の村上洋一郎さんのあとがき引用。
「この書物は、現代における一つの非凡な魂の記録として、一読に値す
ると私は信じる」(P268)との記載があります。
買い物好きな人が「限定」とか「お買い得」の言葉に弱いように、私は
「非凡な魂」とか、「科学哲学」という言葉に弱いのです。
賢い人に対する憧れも強いです。
本書をど絵だけ読み込めたかに立つと、「感想文にならない敗戦記」に
回すべきかもしれませんが、引用にみられるような、「知性や個性の
ぶつかり合い」を、垣間見て楽しめた、という今回も自分勝手な解釈
としておきます。
 
(紹介しようと楽天市場で検索したのですが、出てこなくて、申し訳
ないです)