中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

改正種苗法は「やる気にある生産者」に資すると思う。 昨年の「農業新時代」を再度紹介

1.改正種苗法が成立

新品種の海外無断持ち出し規制へ 参院本会議 

2020年12月2日 12時25分 と題するニュース記事です。

改正種苗法が成立 新品種の海外無断持ち出し規制へ 参院本会議 | NHKニュース

要旨を抜粋すると

国に新品種として登録された果物などの種や苗を海外へ無断で持ち出すこと

を規制する改正種苗法が2日の参議院本会議で可決・成立

 

改正種苗法では、国に新品種として登録された果物などの種や苗が海外に

流出するのを防ぐため開発者が輸出できる国や国内の栽培地域を指定でき、

それ以外の国に故意に持ち出すなどした場合は、10年以下の懲役または

1000万円以下の罰金が科される。

 

加藤官房長官の見解

「優良な品種の海外への流出を防止する措置を講じるもので、政府が取り組

んでいる、農産物の輸出促進を図っていく上でも、大変大きな意義がある」

と述べました。

 

私見

遅れ馳せながら、成立してよかった、という見解です。

工業のパテント件や知的財産権保護と類似観点かともいます。

日本の先端農業は強いし、やる気も旺盛と思います。

農産品は、日本の強力な「輸出商品」であると私は思っています。

「弱いから保護」観点ではなく、種苗開発に精力を注ぎ、課題に取り組み

果敢に挑戦し、実績を残してきたのは立派だし、立法や行政がバックアップ

するのは、当然かと思います。

 

2.農業新時代 ネクストファーマーズの挑戦

昨年の話となりますが、上記書籍

「農業新時代 ネクストファーマーズの挑戦

 著者       川内イオ 出版者    文藝春秋 2019.10」

を紹介しました。

私が「日本農業の強さを実感している書籍です。

同署からのピックアップの一部を再度掲載します。

(1)書籍の概要

3K、高齢化など衰退産業の代名詞のようにみなされてきた日本の

農業ですが、就業人口はこの20年で半減、耕作放棄地も40万ヘク

タールを超えているそうです。

そういった中、独自のアイデアと先端技術で、稀少かつ高品質の商品、

サービスを生み出す農業の変革者たち。

本書は、年齢、性別、環境方法論、方向性が違う、新しいリーダー

10人が登場。彼らを通じて、新ビジネスとしての農業を紹介します。

読後感として「元気が出る」ものでした。

 (2).目 次から

第1章 イノベーターたちの登場

 ・「世界一」の落花生で作る究極のピーナッツバター

 ・4年で500以上のカイゼン 東大卒「畑に入らないマネージャー」

 ・世界のスターシェフを魅了するハーブ農園

第2章 生産・流通のシフトチェンジ

 ・世界が注目する京都のレタス工場

 ・農業界に新しいインフラを!元金融マンが始める物流革命

 ・化粧品、卵、アロマ・・・休耕田から広がるエコシステム

第3章 常識を超えるスーパー技術

 ・ITのパイオニアが挑む「植物科学×テクノロジー

 ・スーパー堆肥が農業を変える

 ・毎年完売!100グラム1万円の茶葉

・ 岡山の鬼才が生んだ奇跡の国産バナナ

(3).本書からの引用 

① 世界でも、自分で豆を作って焙煎して、挽きたてのものを
瓶につめて売っている人って多分いないでしょう。?
それがいいなって思ったし、それをサポートしてくれる世界一
遠州小落花っている存在がある。
アメリカっていう大きなマーケットがある。
だから失敗するはずがない!と思っていましたね。(P27)
 
 
 ② 「阿部梨園の佐川」が「佐川友彦」になって1年もたたず
 にこれだけの企業と提携できたのは、佐川のポジショニング
 が希少だからだ。  (P55)
 
 
③ 考え方やきっかけ次第で、まだまだ伸びしろがある。
 日本の農業はポテンシャルの宝庫ですよ。 (P58)
  
④ ほかと同じことをするな。自分であれ (P74)
   
⑤ 海外に市場はある。コネクションもある。
 なによりヒントも持っている  (P80)
 
⑥ 2017 年 国連砂漠化対処条約は、(中略)
地球上の植生の約20%に相当する地域において土地生産性が下落
し約13億人が劣化した農地からの生産物で生計を立てていると
推定した。(P95)
 
⑦ どれだけ稼いでも自分は代替可能という現実。
ほとんどの上司の目標は、アーリーリタイア。
自分にとって一生続けたい仕事は何かを問い続けた時、道は決
まった (P102)
 
  
⑧起業から10年たって、ようやく市場が追い付いてきましたね。
 
 
農業の見える化に必要なこと 3つ
 ・環境と生体のセンシング
 ・栽培状況のモニタリング
 ・データの管理分析と制御 (P142から143)
 
⑩農産物を輸出するだけじゃなくて、テクノロジーも含めて
 日本の農業全体を知的産業化して輸出できるようになると
 思います。(P149)
 
 
⑪自然と社会が調和して、人も家畜も健康になる
これが社会的農業だと思っています。(P160)
 
 ⑫世界中の研究者が成し遂げられなかった凍結解凍覚醒法を、
一人で趣味で確立したということだ。 (P202)
 
  3.今後に期待

まず、書籍の感想ですが、感想は冒頭で述べた「元気が出る」ことと、

登場する各人が「地に足をつけている」ということでした。   

種苗法の絡みでいうと、主役はあくまで、農業生産者、立法や行政が、

「生産者の意欲沸殺がない、支援する」という黒子に徹することの、

大切さを、改めて、感じました。