1.6月末は「株主総会」の季節?
(1)ご存知のように、日本の上場会社には3月決算会社が、一番
多いです。
今年は新型コロナ感染症対応で、会社法手続きも「前代未聞」の事態
が続きます。
リスクを避けるため「株主総会にはなるべく来るな」、というスタンスは
持ち論過去にはありません。
多くの個人株主は、「総会でのお土産が無くなって残念」といったところ
でしょう。
法形式とはいえ「株式会社の最高意思決定機関」が「株節総会」です。
(2)「株主総会総会も取締役会も無関心、株価が値上がりすれば
それでよい』も本音でしょうが、せつかくですので、「投資の基礎」
として、制度問題もある程度把握を、した方がよいでしょう。
ということで、前回は、第10回で少し取り上げました。
株式投資の基礎 10回目です ガバナンス(企業統治)と企業業績の関係は? 上場会社としてルールは守るのは当然 - 中高年michiのサバイバル日記
趣旨を再度掲載すると
〇ガバナンス(企業統治)は危機の時に生きてくる
結論は、「企業統治がしっかりした企業は、中長期的には儲かる」
というもの
〇日本企業の取締役会の変遷
(直近動向)
2015年6月にコードが施行され、少なくとも2名以上の独立
社外取締役の選任が求められ、選任しない場合はその理由を説明
せねばならなくなると、ほとんどの企業が説明を避けて、社外取
締役の選任を進めた。
2.コーポレートガバナンスコード
(1)今回は、コーポレートガバナンスコードに、少々お付き
合いを。
2015年6月に上場企業に適用されたコーポレートガバナンス・コード
とは、上場企業がとるべき企業統治(コーポレートガバナンス)の
やり方を示した指針で、
2018年に改正され、現在も適用されています
具体的にコーポレートガバナンスとは?
東証の説明資料によれば、コーポレートガバナンスとは、
「会社が、株主をはじめ顧客、従業員、地域社会などの立場を
踏まえたうえで、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行なう
ための仕組み」のこと。
要するに「会社の統治体制がしっかりしているならば、経営は
順調に行われ、不正もなく、業績は順調に伸びていき、という
期待をもって、銘柄選びの際にコーポレートガバナンスに着目
する投資家が増えてほしい」ということです。
具体的運用ルールは「コンプライ・オア・エクスプレイン」と言われ、
「コンプライ(遵守)」しないのであれば株主らに「エクスプレイン
(説明)」せよという規範です。
(2)コーポレートガバナンス・コードが定められた背景
日本では、企業経営を経営陣だけが掌握していた結果、利益を設備
投資や配当、賃金などに反映せず、株主の利益を重視しないと批判
されてきました。
企業同士が安定株主となるために持つ「政策保有株」という独特の
風習もあり海外投資家からは投資先として魅力的に映らなかった。
(もう40年以上前でしょうが、大手証券社の法人営業手法に、「株式
持ち合い推進」もあったようです。)
企業の不適切会計がクローズアップされるなか、企業の国際競争力
強化をねらい、第2次安倍政権の「成長戦略」にコードの策定が盛
り込まれました。
(3)コーポレートガバナンス・コードの5つの基本原則
・株主の権利・平等性の確保
・株主以外のステークホルダー(利害関係者)との適切な協働
・適切な情報開示と透明性の確保
・取締役会等の責務
・株主との対話
重要なものを紹介します。
〇社外取締役を2人以上設置
これまでは1人以上を置くことが求められていた。
しかし、ニューヨーク証券取引所では上場企業に取締役の
他方、人材不足の懸念もある。
なり手は企業経営の経験者や弁護士、学識者らが就任すること
が多いが、複数の企業を兼任している場合が少なくない。
〇2018年改訂 政策保有株縮減へ
2018年6月に初めて改訂版を公表した。
企業がお互いに株を持ち合う「政策保有株」を縮減させる方針
を明記。
〇経営トップの選任、解任手続きの明確化、取締役会への女性や
外国人登用の必要性を明記。
ただ、取締役への女性や外国人登用は伸び悩む。
同資料によると、JPX日経400の構成銘柄のうち女性役員を3人以上
おいていた企業は2%。直前の集計から1%しか上昇していない。
世界では、女性役員を登用した方が投資家から高い評価を得る傾向
が強まっている。
一方、外国人役員の登用も2%にすぎず、グローバル化の遅れが
指摘されている。
3.最後に
ある日本株ファンドマネージャーの話を聞きました。
投資指標として、従前の基準のほかに、今は企業継続性の視点
重視とのこと。
具体的には従業員対応の点で
新型コロナ感染症対応で、広義の従業員管理がうまくいってるか。
テレワークはじめ従前にない環境下での、従業員の報酬、身心の
健康 含めた人員管理、仮に一時的に人員整理選択の場合、次の
拡大路線への対応が応できる準備はどうなっているのか?
改めて、コーポレートガバナンス維持が、収益維持(株価維持)に
通じる道だと、感じた次第です。