マスラオ礼賛
ヤマザキマリ/著
出版者 幻冬舎 2016.8
1.概要
登場人物は、ハドリアヌス帝、スティーブ・ジョブズ、空海、プリニ
ウスという古今東西の著名人だけのピックアップでなく、著者の祖父、
若い頃の恩人、テレビの向こうの人、アニメキャラクター等い多彩です。
「テルマエ・ロマエ」の著者が、偏愛する男の中の男たちを語ります
が、塩野七海さんとはちょっと違った雰囲気です。
前書きに、著者の嗜好がよくあわ割れていて引用すると
「本来は地球の上で起き得るあらゆる自然現象や人間とのかかわりの
中で、一見何の合理性も必要性もない事について考えこんだり、空気
が読めない行動を取ってしまう。それが実は男性の最も魅力的な姿なの
ではないかと思っている。 」 P6
2.本文から
(また私のお気に入りをピックアップします。)
そういう環境で育つ子供達は先進国の子供達に比べると破格に生命力
に溢れている。」生きるという意味と正面から向き合っているせいな
のか、大人以上に寛容で頼りがいのある存在感を放っていたりもす
る。 少年ジョズエ P48
「死んでしまった同僚には気の毒だけど、僕はねラッキーなんだ
よ。」と祖父は私に繰り返し ていた。「人生はね、自分がラッキーだ
と思う程、楽しいもんなんだよ」と。 祖父 戸田得二郎 P59
仮にこの人がボリビアで生き延びて、しかもその後どこかの国の政治
家にでもなっていたら事情は別去ったろうが、若いうちに殺されてい
るというのも伝説化の要素としては完璧だ。 チェ・ゲバラ P78
まず兵士と言う立場で戦地で明日死ぬかもしれない日々を過ごしなが
ら、同時にそこ(パプラニューギニアの原住民の村)での暮らしすら
十分ありうる選択肢として受け入れようとしていたこの人の、地球規
模のものの見方や果てしない考え方は、そう誰にでおまねできるもの
ではない。 水木しげる P88
補足
もう一年前になりますが、空海について書いています。
「万能の天才空海」すごさを感じますが、嫉妬はなく、強いて言うと「淡い憧れ」 - 中高年michiのサバイバル日記
山崎さんの指摘する「寛容さ」に同感です。
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